歯のお役立ち情報 > 寝る前の健康飲料は歯に悪い!?
ところで、こんな疑問を持ったことはありませんか?
「寝る前は、ミルクもダメなの?」
「寝る前の飲み物でも、糖分が含まれていなければ大丈夫なんじゃない?」
「黒酢とか梅酒とか、体にいい飲み物なら飲んでもいいでしょう?」
答えは「全部ダメ」です。
NHK「ためしてガッテン!」という番組で、こんな事例が放送されていましたので引用します。
Aさんのむし歯のケースを紹介します。Aさんの奥歯には、穴がいくつも空いていました。
むし歯ができた経緯を聞いてみました。
「去年の春に、血圧のために、奥さんが飲んでいたある健康飲料を毎日飲み始めました。1年あまり飲んで体調も気分も上々と思っていましたが、歯ぐきの調子が悪くて歯医者に行ったら、むし歯が見つかりました。なんと先生は、その原因は毎日飲んでいた健康飲料らしいというのです。」
その先生は、そのむし歯を「酸蝕歯(さんしょくし)」だと言いました。むし歯や歯周病の原因は細菌ですが、酸蝕歯に関しては、細菌が関与しないという特徴があります。
Aさんが飲んでいた健康飲料の原材料に含まれていた、はちみつの糖分、りんご果汁、レモン果汁も原因のひとつであると先生は言います。
さらに、Aさんが体にいいと思って飲んでいた酢にも、原因があるというのです。
そこで実験です。酢をウシの歯の表面に垂らして観察しました。
すると1時間後には、歯の表面のエナメル質が溶けて内部の組織が見えていました。表面がうっすら溶けていったのです。
ねっ、おそろしいでしょう?
ところで、私がこのお話をすると、こんな風におっしゃる患者様がいらっしゃいます。
「えーっ、酢は健康にいいっていうから、毎晩寝る前に飲んでいたわ!もう買わない!」
いえいえ、「むし歯にならないためには、市販飲料は飲まないほうがいい」ということではありません。今回お伝えしたのは、「夜歯みがきしたあとには、酸性の飲み物や糖分を含む飲み物は飲まないほうがいい」ということです。昼間、ときどき飲むぶんに関しては、まったく心配いりません。私たちのだ液が酸を中和して元に戻してくれます。
「夏場は、水分補給のためにポカリスエットをチビチビ飲みながら寝ているけど、スポーツ飲料とか、イオン飲料なら、いいわよね?」
「コーヒーや紅茶、ハーブティー、栄養ドリンクなら大丈夫?」
それは大きな誤解です。前述のNHKの番組で、市販されている110種類の飲み物の酸性度(pH)を調べたところ、ほとんどが酸性という結果になっていました。すべての市販飲料を調べたわけではありませんが、次の表を見てください!
数字はph値で、数字が小さくなるほど酸がキツく、歯を溶かしやすい飲み物だということです。また、数値が5.5以下の飲み物が口に残っている状態で長時間おくと、歯が溶けていく可能性があります。ほとんどの飲み物が、それに該当しますので、ご注意くださいね!
参照「NHKためしてガッテン」「nico 2007年7月号8月号」
胃酸は飲み物ではありませんが、参考のため載せました。